県内の手遅れ死亡事例3例 —山梨民医連が記者会見

ワイエムピーが加盟する山梨県民主医療機関連合会(山梨民医連)は5月21日、記者会見を開き、2023年1月から12月までの1年間に山梨県内で生活に困窮し治療が遅れたため亡くなった方が3人いたことを報告しました。

事例① 80代男性 収入:15万円以上20万円未満/月
がんと診断され専門的な治療を勧められたが、金銭的な心配から治療を中断していた。痛みが憎悪し救急搬送され、進行がんの末期、多臓器転移と診断された。入院から1カ月後に亡くなった。

事例② 60代女性 収入:5万円未満/月
1年前から体調不良だったが相談できず自宅で様子をみていた。2~3日前から食事摂取困難、意識低下となり救急搬送されたが、多発癌末期のため入院翌日に亡くなった。

事例③ 40代女性 収入:5万円未満/月
飲食店で住み込み働いていた。5カ月ほど前から皮膚黄染がみられ、同僚から受診を進められるが医療費の支払いが困難なため受診できずにいた。1週間前から体調不良により就労が困難となり同僚に説得され受診し入院となった。肝硬変末期、多臓器不全と診断され、入院から4日後に亡くなった。

(記者会見で報告する山梨民医連 平田会長)

これらの事例の共通点は、皆、正規の保険証を持っていたことです。
これまでの手遅れ死亡事例では無保険の方が少なくありませんでした。
保険証を持っていても、窓口での支払いが心配で治療が遅れ、本来なら助かっていたかもしれない命が失われるという事が起きています。
特に事例①の方は後期高齢者保険の方で、2022年10月の制度改定によって窓口負担が1割から2割に負担が上がっていました。
全ての国民に保障されるべき医療へのアクセスを、高すぎる窓口負担金が妨げている実態が浮かんできます。

この3例は山梨民医連に加盟する病院や診療所での調査であり、氷山の一角です。
全国の民医連の調査では今回の山梨民医連の3例を含む48例が報告されていますが、もしもこの調査を日本中の医療機関で行い、同じ割合で起きていると仮定すると12,000例以上になるとのことです。
(日刊ゲンダイ「手遅れ死亡」が浮き彫りにする無保険の悲劇…民医連の調査結果は氷山の一角参照)

お金のあるなしによって救えない命が多くある現状に憤りを感じるとともに、医療者としての無力さを実感しています。。